西脇順三郎と安部公房
大阪の詩人、冨上芳秀さんから詩集を二冊戴いた。これについては、また紙を改めて書きたいと思うけれども、その一冊に葉書が入っていて、曰く、若い自分に安部公房の小説が好きで相当読んだ事、そして西脇順三郎の詩を後年読んで、それが何故かがわかったこと、その訳は、自分が言葉が好きだからだと知ったということが書かれてありました。
これを読んで、わたしはなるほどと思いました。
西脇順三郎は、芭蕉が好きでした。安部公房も芭蕉が好きでした。芭蕉は日本の誇る詩人の一人です。
この詩人は、俳諧という言語芸術の形式を定めた詩人です。
俳諧の精神とは何かと言えば、一行と次の一行に飛躍のあること、同じところに留まらないこと、そして、一行と次の一行でひとつのコンテクストを創造し、次の一行ともうひとつ次の一行で全く別のもうひとつのコンテクストを創造することです。
この意味において、西脇順三郎の詩は、俳諧に通じておりますし、安部公房の文体もまた俳諧に通じております。
つまり、文章を書く楽しさ、殊に詩を書く楽しさは、ここにあるということを冨上さんはおっしゃっているのです。
言語、言葉ということから、芭蕉を媒介にして、西脇順三郎と安部公房の関係を言って置きたいと思った次第です。
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