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2016年5月30日月曜日

6月1日(水)「安部公房文学コーナー」が旭川市東鷹栖支所にOPEN!

6月1日(水)「安部公房文学コーナー」が旭川市東鷹栖支所にOPEN!

6月1日(水)旭川市東鷹栖4条3丁目 東鷹栖地域センター内に「安部公房文学コーナー」が開設されます。


旭川市東鷹栖ゆかりの作家、安部公房の従姉妹にあたり、『郷土誌あさひかわ』代表 渡辺三子さんの所蔵の貴重かつ膨大な資料の数々が、東鷹栖支所の一室に展示されることとなり、資料の搬入・展示が行われました。

是非一度ご来館下さらんことを。以下、東鷹栖安部公房の会のフェイスブック・ページから写真を拝借して、その様子をお伝えします。







安部公房ー寺山修司ー三島由紀夫の関係を論ずるための最初の素描

安部公房ー寺山修司ー三島由紀夫の関係を論ずるための最初の素描

もぐら通信第34号で、私の書いた『『箱男』論~奉天の窓から8枚の写真を読み解く~』について、慶應義塾大学の巽先生がTwitterで批評してくださり、これを機縁にして何度かやり取りのあった最後に、次のコメントをいただいたことは、同誌第35号に書いた通りです。

「[巽先生]7月8日
あとは寺山修司ですね。 1970年代当時、わたしは安部公房スタジオの会員だったのでパルコ劇場にも頻繁に通いましたが、安部の無機質で不条理な舞台と寺山率いる天井桟敷の華麗にしてマニエリスティックな舞台は一見対照的ながら、今にしてみると都市演劇の両極だったのかも。」

確かに、安部公房と寺山修司のつながりは、この後もずっと気になっておりました。そこへ、ミッドナイトイプレスからご案内があり、2016年5月29日に池袋はルービックハウスにて、「昭和とは名だったのか~寺山修司の歌が聞こえてくる~」という題で、寺山修司のそばにいて活躍なさった高取英さんという方がお話をなさるというので、安部公房との関係を伺いたいと足を運んだ次第です。

結論を言えば、大きな収穫がありました。

私の視点は、安部公房でありますし、また深く互いに親しかった作家、三島由紀夫との関係を念頭に置いて、幾つかの質問を高取さんに呈して、回答を得たものを以下の通りにまとめます。

安部公房、三島由紀夫、寺山修司の3人に共通していることは、次の二つです。

1。様々なメディアを横断したということ。ジャンルを超えて、首尾一貫した活動を最後まで行ったということ。

2。主要な主題が、不在の父親であるということ。

これに、巽先生のおっしゃる都市演劇という観点から、上の2項目を眺めますと、そうして高取さんのお話から焦点を1970年代に当てて、安部公房と寺山修司の演劇活動の関係を考え、また安部公房と三島由紀夫のジャンル横断的な1960年代の活動を考えますと、次のような図を得ることができました。これを、3人の関係の素描としてまづ掲げ、後日の安部公房・寺山修司論の最初の一手、奉天の窓というmatrixの碁盤に置く最初の石とします。


また、改めて、時間軸で3人の人生の時間を並べてみると、次のようになります。


高取さんが直接寺山修司から聞いたという言葉を以下にメモして備忘とします。寺山修司は、

1。デモが嫌い。デモよりテロだ。
2。自殺する人間は嫌い。しかし、三島由紀夫は普通にしていて、そのままに死んだので例外である。
3。小田実と石原慎太郎は好き。大江健三郎は、エリートだから嫌いである。

また、高取さんの言葉として、時代の生き証人としての重要な次の言葉がありましたので、これも残します。

1。寺山修司は、敗戦直後の爆発的なプロレスブームを、敗戦した日本による白人種への復讐とみ、それをある本で論じた(この本の題名が聞き取れなかった)が、ここで、戦後の日本の特徴と自分自身の姿として、父親の不在ということを、その本で述べている。
2。寺山修司は、三島由紀夫を規準としていた。
3。寺山修司は、漫画雑誌ガロの永井さんや漫画家の林静一などを論じていて、サブカルチャーをよく理解していたけれども、しかし、本人はサブカルチャーの人間ではない。Hight cultureの人間である。
4。寺山修司が安部公房について言及した資料やテキストは、ない。(筆者註:安部公房の側にも、安部公房が寺山修司について言及した資料やテキストは、ない。黒テント、赤テントへについての発言はあるが。)

私の付言:
高取さんの話を伺うと、寺山修司の譬喩は、叙情の隠喩、対して、安部公房の譬喩は、叙事の隠喩ということができるかも知れない。

この印象は、巽先生の言う「安部の無機質で不条理な舞台と寺山率いる天井桟敷の華麗にしてマニエリスティックな舞台」という「一見対照的ながら」「都市演劇の両極だったのかも」という感想にも一致しているように思う。





2016年5月28日土曜日

もぐら通信第45号をお届けします


もぐら通信第45号をお届けします。


目次は次の通りです。

0 目次…page 2
1 ニュース&記録&掲示板…page 3
2 安部公房と成城高等学校(連載第5回)…page 8
3 存在とは何か~安部公房をより良く理解するために~(連載第5回):
   9。存在の窪み:安部公房の汎神論的存在論…page 9
4 リルケの『形象詩集』を読む(連載第13回):『天使』…page 10
5 奉天の窓から日本の文化を眺める(5):龍安寺石庭(後篇)…page 32 
6 言葉の眼 5:私たちは、何故TVを見なくなったのか?(前篇)…page 42            
7 編集後記…page 48
8 次号予告… page 48


今月もまた、あなたの巣穴で安部公房との楽しいひと時をお過ごし下さい。

もぐら通信社
発行人

岩田英哉

2016年5月27日金曜日

夏目漱石とグレン・グールド、グレングールドと安部公房について

夏目漱石とグレン・グールド、グレングールドと安部公房について

もぐら通信の今月第45号を編集していて、仙台にお住いの、文章を拝見いたしますと、間違いなく安部公房を深く読まれている方なのだと思いますが、行政書士の坪内さんという方のブログに掲題のご投稿あり、ここに紹介いたします。

グールドが、漱石と安部公房を大変好んだという記述の後の、後者とグールドの関係に言及した次の意見には、わたくしも全くその通りだと思いました。

漱石も公房も自我の発現をとことんまで突き詰めていく動機の段階では同じである。異なるのは、自我の発現が貫徹され、その過程をありのまま私小説として示す漱石に対して、公房が自我の発現の過程を一切見せず、一気に他者化して交感を許さない点である。この他者化こそが公房の強さであり、グールドは憧憬を抱いたのではないだろうか。」

この方のブログです:


グールドの求めたものは、静寂であり、静謐な空間でしたから、一度『梨という名前の天国への階段、天国への階段という名前の梨~従属文の中の安部公房論~』(もぐら通信第27号)でグールドと安部公房の共通する関係、即ちバロック様式とバロック感覚の共有を論じた通りなのです。(アマゾンにキンドル本として上梓しました:https://www.amazon.co.jp/梨という名前の天国への階段、天国への階段という名前の梨-~従属文の中の安部公房論~-岩田英哉-ebook/dp/B00QBG4CGK?ie=UTF8&keywords=安部公房%E3%80%80梨&qid=1464316049&ref_=sr_1_1&sr=8-1









2016年5月25日水曜日

翻訳家鴻巣友季子さんが最も影響を受けたのは安部公房の『箱男』

 翻訳家鴻巣友季子さんが最も影響を受けたのは安部公房の『箱男』


翻訳家鴻巣友季子さんが、15歳で安部公房の『箱男』(1973年刊)に出逢って、「この本が私の人生を変えるくらい衝撃的な――まさに『安部公房ショック』でした。でも、それが今の私を結構作っているんだなと思います」と語っています。
もぐら通信に是非そのことをお書き戴きたいものです。


2016年5月20日金曜日

Kafka Summit 2016が開催されるという記事を発見したら...

Kafka Summit 2016が開催という記事を発見したら...

なんと、Kafkaという、これはオープンソースのソフトウエの名前であって、そのエンジニアたちのミーティングが開催されたという記事でした。

まあ、ソフトウエアですから、人工言語でありますし、文学に縁がないわけではありません。

San Franciscoでの開催だったようです。


これに倣って、Abe Kobo Summit 201Xなどという企画も、将来面白いかも知れません。

2016年5月17日火曜日

もぐら通信が、一般社団法人になりました


2016年5月12付で、もぐら通信が、一般社団法人になりました。

正式団体名は、もぐら通信社一般社団法人です。

以下、定款より設立の目的を引用して、お伝えします。


「(目的)
第 3 条  当法人は、安部公房の文学を顕彰することを目的とし、その目的に資するために、次の事業を行う。

 1 もぐら通信の発行
 2 もぐら文学賞の創設
 3 読書会の開催
 4 講演会の開催
 5 安部公房文学館の設立
 6 世界中の安部公房の読者のための交流機会の創出
 7 前各号に掲げる事業に附帯又は関連する事業」

2016年5月10日火曜日

もぐら通信第44号(第二版)をお届けします


もぐら通信第44号(第二版)をお届けします。


追加して修正した箇所は次の通りです。

1。P68:須田さんがCAKE読書会で御提示の地図4枚を追加しました。
2。P92:「世界を地図にしてみると」を世界を陰画の地図にしてみると」としました。
3。P96:龍安寺の砂の説明「(1)砂」に、「切っても別れることなく常に1としてある、即ち存在である。」という一行を追加しました。これで京都の龍安寺石庭が、安部公房掌中の空間であることがあなたに理解されることと思います。
4。その他ひらかなの誤字を2か所(敢えて特記しませんが)訂正しました。


では、第45号にてお会い致します。

もぐら通信
発行人 岩田英哉


2016年5月5日木曜日

もぐら通信有料化についてのアンケートに回答して下さった方で、ブログ「安部公房の広場」よりアンケートのウエッブページに飛んで回答をお寄せ下さった読者の方へ


もぐら通信有料化についてのアンケートに回答して下さった方で、ブログ「安部公房の広場」よりアンケートのウエッブページに飛んで回答をお寄せ下さった読者の方へ

安部公房広場経由で回答下さった方の場合には、アンケート回収の仕組み上メールアドレスがわかりませんので、ご希望の論考をお礼としてお届けすることがまだできておりません。

「安部公房と共産主義」と「安部公房の奉天の窓の暗号を解読する」の方がそれぞれ1名、「『箱男』論」を所望された方が残り2名、計4名の方にまだお届できておりません。


どうかメールアドレスを、発行人岩田(eiya.iwata@gmail.com)まで、お知らせください。ご希望の論考は把握できておりますので、ご心配ご無用です。メールアドレスをお教えください。

ご連絡をお待ちします。