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2015年4月7日火曜日

安部公房の想い出:中田耕治さんの連載を始めます

 中田耕治さんのウエッブサイト、中田耕治ドットコムにて、中田さんが安部公房についての連載をなさいますので、安部公房の読者はご注目下さい。

 次のURLです。

http://www.varia-vie.com/sunclip/page1.html

今月のもぐら通信第32号は、4月25日の発行です。それまでに、もっとお書きくださっていたら、それらも含めて、もぐら通信第に転載を致し、読者にお届けします。

以下、今回の最初の、中田さんの文章です:

 昨年の秋、岩田英哉という人から、思いがけない手紙をいただいた。岩田さんとは面識がない。
 少し説明が必要になる。

  岩田さんは安部公房の熱心な研究家で、独力で安部公房に関するリーフレット、「もぐら通信」を発行しているのだった。私は少年時代に安部公房と親しかったので、このブログで、安部公房の名をあげたことがあった。それに目にとめた岩田さんが、「もぐら通信」に転載したいといってきたのだった。

 私において否やはない。

 やがて「もぐら通信」に拙文が掲載された。これは、うれしいことだった。

 その後、岩田さんからまた手紙をいただいた。そのなかに――「更に安部公房との想い出をたくさんお書きいただけないでしょうか」とあった。
 私は少し驚いた。私などがいまさら安部公房について書くのは僣越至極、また、何か書いたところで誰も関心をもつはずがない。そう思った。
 そのとき、ふと気がついたのだが――「戦後」すぐに私が知りあった、たくさんの文学者、私と同時代の作家、評論家たちも、ほとんどが鬼籍に移っている。いまさらながら無常迅速の思いがあった。

 埴谷雄高、野間宏、花田清輝などの先輩たちだけでなく、私と同世代の関根弘、針生一郎、いいだもも、さらに小川徹、森本哲郎、矢牧一宏までが亡くなっている。
 やはり、「戦後」すぐの安部君について少しでも書いておいたほうがいいかも知れない。そう思いはじめた。

 安部君のことを思い出しているうちに、「近代文学」の人びとをいろいろ思い出した。そればかりではなく、いろいろな時期に出会った人びと、さらには敗戦前後のことがよみがえってきて、収拾がつかなくなった。

 作家の回想というのもおこがましい。
 私の内面につぎつぎにふきあげてくる思い出を書きとめておくだけだが、時あたかも戦後70年、まだ記憶していることを気ままに書きとめてみよう。

2 件のコメント:

  1. 岩田さん、中田さんの連載は価値あるものになると思います。安部公房のみならず、埴谷はじめ「近代文学」の作家たちについての中田さんの回想も期待します。さらにひろがって、ヘンリーミラーについても。嬉しい連載です。

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  2. やあ、banさん、コメント、ありがとうございます。その通りですね。前回の転載のときも、そうでしたが、実に貴重な証言の連続でした。今度は、もっと本格的に書いてくださると思いますので、間違いなく『近代文学』のことも回想されることでしょう。ヘンリー・ミラーもきっとでてきますね。楽しみにしております。

    また、安部公房全集未収録の資料が手元に幾つもありますので、これらもこれから順次毎号掲載をして、安部公房の読者にお届けしたいと思っております。

    コメント、ありがとうございました。

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