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2015年8月30日日曜日

もぐら通信(第36号第二版)を発行しました。


もぐら通信(第36号第二版)を発行しました。

滝口健一郎さんの『ABE日誌4』に複数の誤植がありましたので、
これを訂正し、もぐら通信(第36号第二版)を発行しました。

次のURLでダウンロードすることができます。:



2015年8月29日土曜日

もぐら通信第36号を発行しましたので、お知らせします。


もぐら通信第36号を発行しましたので、お知らせします。

次のURLにてダウンロード下さい:


目次は、次の通りです。

0 ニュース&記録&掲示板…page 2
1 目次…page 8
2 安部公房を巡る想い出(連載第5回):中田耕治…page 9
3 安部公房 写真の文学:近藤一弥…page 16
4 ABE日誌4:滝口健一郎…page 29
5 特集:安部公房と成城高等学校(連載第1回):岩田英哉…page 38
6 安部公房スタジオの演技概念『ニュートラル』と森鷗外の『都甲太兵衛』:岩田英哉…page 40
7 リルケの『形象詩集』を読む(連載第5回):岩田英哉…page 58
8 編集者通信:奉天の窓から日本の文化を眺める(2):巻物…page 66
9 編集後記…page 77
10 次号予告… page 77


では、今月も、あなたの巣穴で、安部公房とのひと時を。




もぐら通信亭主敬白

2015年8月18日火曜日

三島由紀夫の『文化防衛論』と安部公房


三島由紀夫の十代の詩を読み解く8:三島由紀夫の『文化防衛論』と安部公房』と題して、詩のブログ『詩文楽』に、安部公房の小学生のときの詩『夜』(「クリヌクイ」の詩)と三島由紀夫6歳のときの詩『ウンドウクヮイ』(「運動会」)と比較をし、その文化観と言語観を論じました。

あなたにとつて清新な論であることを願ひます。

2015年8月13日木曜日

英国ガーディアン紙みんなの必読書1000冊決定版に、安部公房の『他人の顔』が選ばれました。


英国ガーディアン紙みんなの必読書1000冊決定版に、安部公房の『他人の顔』が選ばれました。

この小説は、英国人には、家族小説と思われているのです。彼我の差、相当にあり、というところです。


以下、鴻巣友季子さんのツイートから:


英国ガーディアン紙みんなの必読書1000冊決定版。「愛」「家族」などテーマ別。http://www.theguardian.com/books/2009/jan/23/bestbooks-fiction
凄いのがこれを日本語・邦題リストに直したこちら涙。1000冊のかなりの割合邦訳してきた日本の翻訳者もえらい涙。https://yurilam.wordpress.com/ガーディアン必読1000/

上記のガーディアン紙にある当該箇所から、英日それぞれの記述を:

まづ英語の記述を:

Family and self
The Face of Another by Kobo Abe

そして、その日本語訳から:

Family and self
The Face of Another, Kobo Abe / E.DALE SAUNDERS 訳 (Kindle版あり)
『他人の顔』 安部公房


安部公房は、英語圏でも生きている。

2015年8月10日月曜日

安部公房の『箱男』の世界を体感し、再表現するワークショップ



遅ればせながらですが、次の記事を発見しました。もっとも、安部公房が、安部工房といふのはいただけないけれど。しかし、この熱意は、いい。それは、

「塾生150メールマガジンバックナンバー」というブログです:


以下、このブログからです。(略)としたところは、URLに飛ぶと、あります。:


2011年02月18日(金) 

いがけんメーリスの皆様

(略)

この度、私が参加しているFLEDGE(フレッジ)で
「ストーリーを現実に、現実をストーリーに」というテーマで
安部公房「箱男」という本の世界を体感、再表現するワークショップを行います。

本を読んだことがある方もそうでない方も楽しめるようになってますので、
興味のある方は是非お気軽におこしください。


以下、告知文になります。
------------------------------------------------------------------------

本に書いてあることをやってみたい。
読むだけじゃなくて、ストーリーを創ってみたい。
作者はどんなことを思いながら書いたのか知りたい。
面白い作品に出会った時、そう思ったことはありませんか?

今回我々FLEDGE(フレッジ)では、安部公房の『箱男』を題材に、
「ストーリーが現実に、現実がストーリーになるとき」
というテーマでワークショップを行います。

日常に、ちょっと変わった視点を持ちこむことで、
独自の世界観を表現した安部公房。その世界をさらに深く味わうために、
ちょっと変わった日曜日の午後を過ごしてみませんか?

■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
FLEDGEワークショップ
~ストーリーが現実に、現実がストーリーになるとき~
安部工房『箱男』の世界を体感し、再表現するワークショップ

2011年2月27日(日)13:00~17:00 (チェックイン12:30)
@東京大学本郷キャンパス福武ホール
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

<詳細>
【コンテンツ】
①to be 箱男(段ボールから箱をつくり、箱男として街に繰り出します)
②ストーリー作成(自分の体感をもとに、世界で一つの『箱男』ストーリーを作成します)

【日時】2011/2/27(日) 13時~17時 (12時半チェックイン開始)

【場所】東京大学本郷キャンパス 東京大学情報学環・福武ホール
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html

【定員】12名(応募者多数の場合は先着順とさせていただきます)

【対象】
本が好きな人。
安部公房が好きな人。
どちらとも好きじゃないけど、好きになってみたい人。
または変な事をして日曜日を楽しみたい人笑。
どなたでも大歓迎です!

【参加費】
無料

【持参するもの】
①デジタルカメラ
②フィールドワークを実施します。
歩きやすく、暖かい服装でお越しください。

【お申し込み】
下記のフォームの一番下からお申し込みください。
 (略)

【お問い合せ】 (略)

【主催】NPO法人 Educe Technologies

【共催】東京大学大学院情報学環・学際情報学府山内研究室

【企画担当】FLEDGE第三期メンバー
  (略)

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●FLEDGEとは・・・
「これからの社会のために、よりよい学びとは何かを考え、
学びの場を自ら創りだし、増やしていく」というコンセプトのもと、
理論と実践を行き来しながら進む大学生向けの勉強会です。

………………………………………………
●Educe Technologiesとは・・・
人間がその可能性を最大限に発揮できる学びの場のデザインについて、
教育工学の立場から、大学・企業・教育現場をつないだ実践的研究プロジェクトを展開していきます。
また、新しい時代にふさわしい「学びあう社会」を作り上げるために、研究会やシンポジウムなどを通じて、
その成果を広く社会に訴えかけていく活動も進めていきます。

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2015年8月9日日曜日

中田耕治さん若き安部公房を語る9:武井武雄の『おもちゃ箱』



中田耕治さん若き安部公房を語る9:武井武雄の『おもちゃ箱』



中田耕治さん若き安部公房を語る27。次のURLへ:



「           【27

 武井武雄の「おもちゃ箱」は、おもちゃの国の物語で、まず人形の家と、そこに住んでいる人形たちの紹介からはじまる。
 靴屋の「フョドル」、人形病院の院長先生、「ドクトル・プッペ」。綺麗な「お姫さま」。「ヱカキサン」。「ヘイタイサン」。「アヲイメノ・ジュリエット」。「センセイ」。「オマワリサン」。「デンシャノ・シャショウ」。「ヴァイオリン ヒキ」。「カンゴフサン」。「スヰヘイ」。「オネエサマ」。「ユウビンクバリ」。「バシャヤ」。「カミクズノ・カミサマ」。「ニハトリ・コゾウ」。

 それぞれ個性ゆたかなキャラクターばかり。

   (略)

 なぜ、こんなことを書いておくのか。小さな理由がある。

 安部君は、「近代文学」の同人たちのなかでは埴谷さんといちばん親しかったが、ある日、二人はちいさなイタズラをして遊んでいた。
 「戦後」に登場した作家、評論家たちを、動物にたとえて、ふたりで大笑いした。私は、あとからこのイタズラに加わったが、そのとき、安部君が、「ヘイタイサン」。「センセイ」。「デンシャノ・シャショウ」。「ヴァイオリン ヒキ」。「スヰヘイ」。「オネエサマ」。「ユウビンクバリ」。「バシャヤ」といった分類をしたので、私は、安部君の頭に、武井武雄の「おもちゃ箱」があることに気がついた。
 このときの、分類では、野間宏は、「ヘイタイサン」だった。フィリピン戦線から復員してきた野間宏は、いつも頑丈な軍靴をはいて、「近代文学」に姿を見せたからだろう。
 私は「ネズミ」だった。私が「近代文学」のなかでいちばん小柄だったせいだが、「ワラノヘイタイ」と「ナマリノヘイタイ」が何かにつけて競争しているところに、不意に姿をあらわす「ネズミ」に似ていたからだろう。

   (略)

 私が、こんなことを書いておくのは、それなりの理由がある。
 またまた断っておくが――武井武雄のマンガのキャラクターを、「近代文学」やその近辺の文学者に擬して笑う、ひどく隠微なイタズラを楽しんでいたからといって、安部君や私の内面に、やりどのない屈折があったというわけではない。
 私たちはお互いにふざけあっては笑っていたのだった。」

中田耕治さん若き安部公房を語る27。次のURLへ:






2015年8月8日土曜日

中田耕治さん若き安部公房を語る 8:安部真知


中田耕治さん若き安部公房を語る 8:安部真知


中田耕治さんの語る安部真知夫人の若き日の姿。誰も語ることのなかった安部真知。

私が安部君と親しくなった時期、彼と真知さんは、それまで住んでいた中野から小日向に移ったばかりだった。
 この界隈も空襲の被害が大きく、安部君が間借りした家の周囲は焼け跡ばかりで、一軒だけ焼け残ったように見えた。
   (略) 
 安部君は東大に戻るため、この界隈に部屋を探していたのだった。

 武井武雄のことに話を戻そう。
   (略)

 真知は美少女だった。私とあまり年齢が違わないのに、ずっと年上のように見えた。私があまりにも幼稚だったせいだろう。新婚間もないふたりの部屋に押しかけて、自分でもよくわからない難しい議論を吹っかけるような少年に辟易していたに違いない。しかし、そんなようすは少しも見せず、若い夫とさらに年下の少年が夢中になって話しあっているのを聞いている。食事もろくにできない時代だったから、私をもてなすビスケットの1枚もなく、ただ黙ってときどきお茶を注いでくれた真知を思い出す。その水は、二人が借りていた部屋の大家さんが、戦時中、小さな家庭菜園にしていた庭の井戸から汲みあげなければならなかった。だから、夜中でも、真知は下駄を突っかけて庭に出て、両手でポンプを動かして水を汲むのだった。

   (略)

 当時の真知は、油絵を描きたいと思っていたが、絵の具も買えないほど貧しかった。それでも、少しも屈託を見せなかった。
 たった一枚だが真知の油絵を見たことがある。
 セザンヌの風景画を模写したものだった。
 少年の私は、食うや食わずの生活で、貧しさにめげず、ひたむきにセザンヌの模写をつづけていた真知を知って感動した。

 はるか後年、私は女子美の先生になったが、女子学生の描く模写を見るたびに、きまって安部真知の絵を思いうかべた。

 これも身勝手ないいかたと承知しているが――私の内部では、女子美の女の子たちの絵やデッサンを見るたびに、はじめて見た安部真知の絵が、女子学生たちの才能を判断する一つのクライテリオンになったような気がする。
 これもはるかな後年、私は南フランス、ラ・カリフォルニーのピカソのアトリエを見に行ったことがある。マヤ・ピカソの好意で、ヴァローリスのアトリエを見ることができたのだった。この旅で、マルセイユからカンヌを通ったが、途中でサント・ヴィクトワールの麓に出たとき、セザンヌのことを思い出しながら、「戦後」すぐに安部真知が描いた絵を思い浮かべた。」

是非、お読みください。:

http://www.varia-vie.com/sunclip/sunclip.cgi