第5回CAKE読書会出席ご希望の方へ:簡単な予習のお願い
今読書会で読みます『無名詩集』の掉尾を飾る詩と詩人論『詩の運命』をざっと見て、次のことが読書会での話題になると思いますので、事前に目を通しておいてくださるとありがたく思います。平日は仕事がおありで、大変でありましょうから、無理をしない程度で結構です。
1。『詩と詩人(意識と無意識)』:安部公房20歳の論文:全集第1巻104ページから117ページ
この論文が、前提となって、その延長上に、『詩の運命』が書かれていますので、事前に目をざっとで良いので通しておいて下さい。わからないところ、気になるところは印をつけておいて下さい。当日参照程度で必要とすることがあると思います。
2。化石:全集第1巻208ページ
この詩を読んでおいて下さい。ここに化石という言葉が出てきます。『詩の運命』の265ページ上段の同じ「存在の化石」という言葉を理解するためです。安部公房の存在概念を理解することができます。
(後と後年の小説では、『石の眼』という小説があり、戯曲では、『石の語る日』という戯曲があります。この石という動機(モチーフ)と形象の源泉はリルケです(『飾り彫りのある石柱の歌』もぐら通信第38号掲載)が、リルケの詩を傍らに見ながら、本題は安部公房のエッセイと詩に絞りましょう。)
この化石という言葉は、この詩を読みますと、『詩と詩人』の冒頭に掲げられた詩にも関係があることがわかります。
つまり、天体、古代(太古)、存在と非存在、沈黙、夜、言葉、融合、天体(太陽と星)、虚空と無、化石の中での鳥、永遠の飛翔などなど。これは当日吟味します。
3。カルティエ・ブレッソン宛書簡:全集第28巻416ページ
このページにあるブレッソン宛に書いた、65歳の安部公房の詩を読んでおいて下さい。短いものですが、上の22歳の『化石』の詩に全く変わらずに通じているのです。
沈黙の中を永遠に飛翔する、やはり、鳥が出てきます。また、融合という(『化石』では)漢語で言われていた言葉が、溶け合うという大和言葉として出てきます。その他、存在と非存在などなど。
4。カルティエ・ブレッソン作品によせて:全集第1巻414ページ
この短文も読んでおいて下さい。上の3のブレッソン宛の書簡の詩の意味が、安部公房によって解説されています。この二つの詩を合わせ鏡にして読みますと、安部公房という人間と其のものの考え方がよくわかります。
その他:
こうしてみますと、『無名詩集』は、やはり重要な詩集でした。この重要な詩集の掉尾を飾る此のエッセイまでに至ると、やはり安部公房の哲学的なものの考え方について理解をすることが、読者として必要になると思いましたので、私が哲学とは何かという単純至極の話をします。このエッセイの冒頭にノエシス・ノエマという用語で出てくるフッサールの現象学も哲学の一種です。ヨーロッパの哲学用語を普通の日本語で整理整頓して、白人種アングロサクソン族の論理を手際よく、私たち日本人に無理なく、分かり易くお伝えします。資料は事務局が用意をします。時間は15分です。
運営の順序としては、いつも通りに輪読をして、段落ごとに読み解き、それに応じて必要な詩や他の安部公房全集収録のテキストを参照しながら、全体を見渡し、まとめるという順序で参りたいと思います。
この間、出席ご希望の方は、追伸1の理由で松蔵のスイートポテトを用意する必要から、6月16日24:00までに、下記のメール・アドレス宛にご連絡下さい:
s.karma@molecom.org
当該テキストのない方には、当方にてDropboxの専用フォルダーを用意して資料をお渡しします。
追伸1
事務局で、安部公房の好物であった(多分大好物)松蔵のスイートポテトを用意しますので、紅茶やコーヒーをご持参下さい。
楽しくやりたいと思います。
追伸2:
上でお伝えした予習のことですが、余り重たく考えずに、ご自分の時間の許す限りで結構です。強い意志を発動せずに、脱力しての範囲で結構です。
発行人 岩田英哉
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